自己犠牲を積み重ねたクライアントさんの状態【EFTタッピング・セッション事例】

セルフケアサロン・アイホージュの伊藤みつるです。

今日は、前回からの続きです。

自己犠牲を積み重ねていたNさんが育った環境

自己犠牲を積み重ねて大人になったNさんは、富裕層家庭で育っている。

周りの人達からは「あなたは、幸せな家庭で育ったのね」と言われていた。

そう言われるのも、よくわかる。

両親は働いている。

特に父の仕事は、世の中で「信用するに値するもの」である。

父と母は、仲良しだ。

特に父は、母がいなくては生きていけないと言うほどに、母の事をものすごく愛している。

あんなに父に愛される母が、羨ましい。

私は、両親から、大事に育ててもらって、愛されている。

頭では、それがわかる。

でも、ちっとも両親に、愛されているとは思えない。

こんな事を、両親に話そうものなら

「お前は、わがままだ。お前は、恵まれている。

こんなに恵まれているのに、もっと欲しいなんて、よくばりだ。

身の丈を知れ!

全部親のおかげで、こんな幸せな生活をしているのだろう?

そんなに文句を言うなら、独り立ちしてみろ!

全部、自分でやってみろ。

親のすねをかじって甘えているだけなのだから、大きな口をきくな。」

と返ってくる。

自分の思いを話しても、両親はわかってくれない。

こんなに両親に愛されているのに、自分はちっとも愛されているとは感じない。

自分の頭がおかしいのだと思う。

Nさんが自己犠牲をするようになったきっかけ

Nさんが、自らの意思を犠牲にする、自己犠牲をするようになったきっかけは何だったのだろう。

彼女は、小さい頃から、美しいものや綺麗なものが大好きだ。

将来、大きく美しいお城に住みたい。

壮大な夢を抱く子供だった。

彼女には、両親の考えに近い、兄弟がいる。

つまり、家の中で、自由に壮大な夢を描いたり、思いを抱いたり、口に出したりするのは、Nさんだけ。

そのような彼女に対し、ご両親は、ことあるごとに高望みをせず、手元の幸せを数えて生きるよう促していた。

これが、彼女が自らに犠牲を強いる際の呪文となる。

自己犠牲をさせてまでも高望みをしないよう促した両親の思い

結果的にご両親は、Nさんの「壮大な思い」を否定し、自己犠牲をさせたことになるのだが、そうしてまでも「高望みをせず、手元の幸せを数えて生きる」よう促していたのは、なぜだったのだろう。

時代背景もあるが、何よりも、二人とも、Nさんのことが大切で、幸せに生きてほしいと願っていたからだ。

父親の思い

Nさん曰く、父親は、自由であるが故に、人間関係で苦労をしてきたのだそうだ。

だから、自分によく似ている、自由な気質を持ち合わせていた幼いNさんが、無邪気に壮大な思いを口にする度に「同じような苦労や嫌な思いをするのではないか」と恐れていたという。

娘には、そんな思いを絶対にさせたくないし、大切だからこそ守りたい。

身の丈に合った幸せを数えるような子になれば、そんな苦労や嫌な思いをしなくて済むし、安全だ。

母親の思い

Nさんの母親は、職場でも家でも、周囲の空気を読みながら、臨機応変に「動く」働き者タイプ。

自己犠牲の積み重ねによる対処で、周りとうまくやってきている。

母親はよく「Nちゃんが、笑顔なら、ママは幸せ」と言っていた。

一見、とても良さそうに感じるが、Nさんは、それが苦痛だった。

なぜなら、母親の思い描く「笑顔」でいるよう、求められていたからだ。

彼女が内心どう思っているのかは関係なく、笑っていさえすれば、満足で幸せだと母親が言っていることになる。

母親には悪気がない。

とにかくNさんが大好きで仕方がないのだ。

大事に思うあまり、できるだけ、苦しみや不幸を味わうことのないよう、幸せに生きてほしい。

そう願って、「監視」といっても過言ではないレベルで、彼女のことを心配していた。

同じ自己犠牲でもタイプが違うと話がかみ合わない

実は、Nさんと母親は、同じ自己犠牲でもタイプが異なる。

そのため、同じ日本語を話しているのに、話がかみ合わないのだ。

Nさんは「母の言ったことを一字一句聞き逃さないようにして、相手の望んだことをしよう」と考える。

母親は、Nさんが求めたものではなく「こうやったらもっといいよね」とか「これでいいよね」とか、自分が良かれと思ったものを彼女に差し出す癖がある。

Nさんが抗議すると、良かれと思って行動した母親は自分を否定されたと感じて傷つく。

そして「あなたはいつも文句ばかり言う」とNさんをたしなめる。

そういう時、Nさんの中では、猛烈な怒りが湧くのだが、親子という力関係によって、必然的に、ご自分を抑えることが多い。

自己犠牲を積み重ねた結果、自分はダメ人間で間違っていると思うようになった

両親を責めたい訳ではない。

どれだけ大事にされているのか、愛されているのか、心から感じたい。

でも、それができないと感じる、ご自身を責めている。

わかってもらえないと感じることが増えて、委縮していく。

自分の思いをどこにも出せないまま、自分を抑え込む。

自己犠を積み重ねて成長したNさんは、周囲に認められる自分になるために努力し続けた。

その結果、周囲の言動に左右されるようになった。

Nさんは、自分とは異なる意見や何かを、周りの人から言われる度に、お前は間違っていると言われているように感じている。

そんな時、「自分の頭がおかしい」と思い、自分を責めることで、意思を抑え込み「身の丈にあった幸せ」を選ぼうとする。

でも、そうすることができないと感じる自分もいる。

身の丈に合った幸せが選べない自分では、両親から愛されない。

そう感じて、また自分を責める。

自己犠牲の積み重ねによる堂々巡りで、彼女は自分のことをダメ人間だと強く思い込んでいた。

次回に続きます。