
前回、社会的欲求を扱うことで自分を生かす の記事で、ありのまま認める×EFTでは、「社会に所属する、一個人である自分(の欲)を生かす」というテーマのもと、3段階目の欲を扱うと書きましたが、自分を生かす欲の扱い方は2つだけです。
- 自分を生かすこと
- 自分と周囲を生かした上で自己実現すること
1が基礎、2が応用です。
1が出来なければ、2は使えません。
EFTは、上半身の複数のツボを指で軽く叩きながら、セットアップフレーズ・リマインダーと呼ばれる「言葉」を口にするのですが、ありのまま認める×EFTの全てのセットアップフレーズ・リマインダーは、この2つの扱い方に沿って作ります。
実は、この2つの方法。
他者とのコミュニケーションを取る際の基本でもある のです。
一つ目の欲の扱い方「自分を生かす」
では、ここから「食べたい」という自分の欲(答え)を扱っていきます。
「何か食べたい」という欲に対し、何を食べよう?
何が食べたい気分かなあ?
どこに行こう?
あのお店もいいな、あそこも行きたいし、あっちにも行ってみたい。
などと、あなたの訴え(思い・感じたこと)を、1つ1つあなたがありのまま認め、言葉に置き換え、自問自答することを繰り返します。
この繰り返しによって、自分はどうしたいのか、何が必要なのかを言葉で把握し、納得しながら前に進んでいくことを、ここでは
と言います。
これが、1つ目の「自分を生かす」欲の扱い方です。
マズローの5段階欲求の図で表すと、3段階で発生した欲を
3段階で扱います。
ひととおり、自分で自分をありのまま認めた後は、
- 今日は、あの店のあの味が食べたい気分だ
- 予算はこの位だ
- 午後に会議がある
などの、自分の欲と事情を考慮した取捨選択によって、「〇時に、あそこのお店に行くことに決める」という、自分の答えに行き着きます。
ここまでの一連の流れを通じて、自分をありのまま認めることによって、自分を尊重することが、1つ目の欲の扱い方です。
2つ目の欲の扱い方「自分と周囲を生かした上で自己実現すること」
「お店に行って食べる」「誰かと一緒に食べる」など、「周囲の誰かや何か」の関わりがある場合は、自分の欲と事情だけで物事を進める訳にはいきません。
この場合は、3段階で扱った欲を、4段階の尊厳欲求(承認欲求)へと持っていき、
もう1つの欲の扱い方となる
ことが必要です。
実行によって
5段階の自己実現となります。
例えば、一人でお店で食事するとしても、定休日や営業時間、混雑の有無などを考えますよね。
営業日の営業時間内に店に行く。
混雑しているので、順番を待って店に入る。
注文したものを作ってもらって食べる。
食べたものに対し、支払いをする。
などといったことが「自分と周囲の尊重(自分と周囲を生かす)と合意、実行」です。
定休日のお店に対して、「今、どうしても食べたいから、お店を開けろ!」とか、順番を無視して「今食べたいから、すぐに出せ」とかなどは、なさらないと思うのです。
ですが、時に事情があり、定休日だけれど、どうしても開けてほしいとか、食べ終わった後に、持ってきたはずのお財布がないと気づいたりする場面があるかもしれません。
このような場合も、2つ目の方法を使います。
先に、1つ目の方法を使って「自分がどうしたいのか、何をする必要があるのか」をわかった上で、「このような理由があって、今、こういう状態にある。だから私はこうしたいのだけれど、あなたはどうですか?」とお相手に持ち掛けて、互いの合意点を探り、決まったことを実行します。
実行した結果が、5段階の自己実現です。
自己実現とは
自己実現にはいろいろな意味がありますが、共通しているのは、「2つ目の欲の扱い方を使った結果」ということ。
普段の生活の中で、3段階で発生した自分の欲を
- 3段階で扱う
- 3段階でどうしたいのかを把握した上で、4段階へと持っていき、他者との尊重と合意の上で、5段階の実現に至る。
ことは、「1つの自己実現」です。
自己実現という表現に「夢・目標・願いをかなえる」というイメージをお持ちかもしれません。
日常の「1つの自己実現」の連続・積み重ねによって、夢・目標・願いを実現することも「自己実現」です。
2つの欲の扱い方を実行し、やる必要のあることをやった結果、「合意しなかった」「望んだ結果ではなかった」としても、それも「自己実現」です。
合意しなかった場合は
- そこでひとまず終える
- 1つ目の方法に戻り、別な手を考え、2つ目の方法を使って実行していく
どちらかを選びます。
自分を生かす2つの欲の扱い方は、コミュニケーションの基本でもある
実は、2つの欲の扱い方は、周囲の人たちとコミュニケーションを取る際の、基本でもあるのです。
ところで、コミュニケーションを取る際の基本って何なのかを、あなたはご存じでしょうか。
まずは、3段階で、自分の欲や事情を、言葉で把握し「自分(の欲)を知ること」
「自分(の欲)」を把握し、4段階で、他者とコミュニケーションを取る際に、
- 何を話す必要があるのか
- 何を聞く必要があるのか
- 何をやる必要があるのか
を押さえて行動すると、5段階の自己実現に至ります。
例えば、仲の良い何人かと食事する場合、自分の訴えが全部通る訳ではないと理解しつつ、ひとまず全員が「自分の欲と事情」を話すと思うのです。
あれが食べたいとか、どこに行きたいとか、何時までなら大丈夫とか、アレルギーの有無とか、今日の気分とか。何が譲れて、何が譲れないのか。
これは、3段階で自分の欲や事情がわかっていなければ、やれないことなのです。
皆の訴えを調整し、最終的に、全員の合意が得られる内容へとたどり着き、5段階で「皆と食事をする」目的を達成。
2段階の安全(自分と他者との境界線を築く・食べることによって活動ができる状態になる)も、1段階の食欲も満たされる。
時折、それぞれの事情によって譲歩が難しく、合意しないことに合意する場面もあります。
自分が「合意しないことに合意する」と決めたら、それは、合意です。
世の中には、笑顔、傾聴などのコミュニケーションテクニックがたくさんありますが、これらは、2つの欲の扱い方を押さえることで、いかせます。
どんなにテクニックを集めたとしても、基本を押さえていなければ、コミュニケーションを取ったり、楽しんだりすることは難しいのです。
自分を生かすことが安全の確保に繋がる
マズローの5段階欲求の図の2段階目に、安全欲求があります。
自分を生かすってどういうこと?の記事で、自分(の欲)を生かす場合は、自分や周囲の尊重と安全の確保を前提に「感覚・感情」「理性」どちらも生かして、欲を扱う(認め、求め、満たす)ことが必要と書きました。
実は、自分がどうしたいのか、何をする必要があるのか、自分の欲をわかっていることが、自分や周囲の安全を確保することへと繋がります。
普段、あなたは、何気なくご自分や周囲の安全を考えて、行動なさっているはずです。
例えば、前述した「何か食べる」という欲を把握した後、予算や午後の予定を考えるというのがそれです。
「午後の重要な会議の前に、気合を入れた白いスーツで、おなかいっぱいカレーを食べるぞーー」ということは、恐らくなさらないと思うのです。
お財布を忘れないようにとか、洋服を汚さないようにとか、定休日はいつか考えたりとか、営業時間に間に合うように行こうとか、食べ過ぎて胃がもたれないようにとか、おいしく食べられるようにとか、みんなが楽しめるようにとか、会議に遅刻しないようにとか、階段で足を踏み外さないようにとか、人とぶつからないようにとか、発言で人を傷つけないようにとか、本当に何気なく、自分や周囲の安全を考えて動いていますよね。
自分(周囲)の心や心以外にも、時間・労力・お金などを適切に扱うことも、安全の確保へとつながります。
2つの欲の扱い方をまとめて「自律」と呼ぶ
あなたの内側に発生した体の感覚の存在を、あなたが、ありのまま認め、言葉に置き換え、現状を把握した後に、自問自答することで、欲へと変える。
自問自答を繰り返しながら、どうしたいのか、何が必要なのかを言葉で把握して、納得して前に進めるようにする。
自分と周囲の尊重と、安全の確保を前提に、必要な行動し、結果を得て、自分を満たす。
という、感覚と理性を生かした、2つの欲の扱い方を、ひとまとめにして「自律」と呼びます。
でも・・・どうして自分(らしさ)を生かしたり、自己実現したりする必要があるのでしょうか。
そんなこと、考えたことがないなあ・・と思った方は、多いのではないでしょうか。
実は、これには理由があるのです。
次回に続きます。