
セルフケアサロン・アイホージュの伊藤みつるです。
この話は前回からの続きです。
自分を変えるとはどういうこと?
Uさんに必要だったのは、自分を変えること。
もう少し詳しく言えば、プライベートでも職場でも、自己犠牲の癖が顔を出した時に気づいて、自分がどうしたいのか意志(欲・~したい)に沿って行動し、今までとは違う結果を得て、次へとつなげていくことでした。
行動とは
- 自分を尊重する
- 自分と他者の違いを尊重する
ことを前提に
- 言う必要のあることが何かをわかって言う
- 聞く必要のあることをそのまま聞く
- やる必要のあることが何かをわかってやる
こと。
シンプルですが、これらの連続・積み重ねが、自分を変えるために必要なことなのです。
でも、初期の頃のUさんは、自己犠牲を積み重ねたために、これらの術が身についていませんでした。
自己犠牲をし続け、意志を活かす術が身についていない状態で、いきなり自分がどうしたいのかに沿って、行動しようとするのは無謀な話。
なぜなら「うまくいかない、今までのやり方「我慢は美徳」でうまくやろうとしてトラブルが生じ、自分(や周囲)を傷つける」だけだから。
自己犠牲は、積み重ねによって癖になっていて、出来事を変えた状態で顔を出します。
やめようとか、なくそうとかしても「やめたつもり・なくしたつもり」にしかなりません。
なので、自己犠牲の癖が顔を出したら、気づいて軌道修正ができるようになるのが、自分を変えるためのコツです。
ということで、継続セッションを通じて、Uさんは、目の前の悩みに対応しながら、自己犠牲の癖を理解したり、術を身に着け、軌道修正するための取り組みを続けました。
自己犠牲の癖を理解しよう
自己犠牲を長年に渡って積み重ねて成長すると、自分がどうしたいのかがわからなくなっています。
この状態のまま、相手に何か伝えたいと思っても、伝え方が身についていません。
そのため
- 何をしたいのかわからない
- 何を、どんな風に話したらいいのかわからない
- 何をやればいいのかわからない
と感じます。
また「自分とは違う相手の意見が、自分を否定するもの」とも感じるので「相手の話をひとまずそのまま聞く」のも難しくなります。
Uさんの場合は、相手の言う通りに動いているのに、口出しをされると「お前は間違っている・ダメ人間」などと言われているように感じると書きました。
そのため「自分とは異なる、単なる相手の意見」が、
- 責められている
- 怒られている
- 否定されている
- わかってもらえない
- 文句を言われている
- お前はダメ人間だと言われている
などと感じて、傷ついてしまうのです。
こういう背景があるので、対人関係において、傷つかないように自分を守ろうとする動きがUさんの中で出てきます。
知らず知らずのうちにUさんは「口出しをされない(文句を言われないこと)」を目的に「我慢は美徳」を続けます。
我慢は美徳
↓
周りの言うことを聞く
↓
口出しをされないはずだ
↓
自分は正しい・間違っていないと周囲から認めてもらえているとUさんは感じる
↓
傷つくことから自分を守れるはずだ
↓
安心・安全を得られるはずだ
という動きになります。
実はこれが、自己犠牲を積み重ねているUさんにとっての、承認欲求を満たす対処です。
認めてもらえずに傷ついたと自分が感じることがリスクになるので、それを回避しようとする訳です。
でも実際は、このやり方ではUさんが傷つくことが増えますし、リスクを回避し続けることが、後に大きなリスクとなるのです。
自己犠牲を積み重ねると忙しい割に生産性も幸福度も低くなる
相手の言動に違和感やおかしいと感じても、Uさんは「我慢は美徳」と捉えて、口をつぐんでしまいます。
これが、前回の記事で触れた、トラブルを引き起こす原因となる、「ロスが生じる、的を射ない対処」です。
「ロスが生じる、的を射ない対処」とは、言い換えると「生産性が低い」ということ。
1回1回は大したことがなくても、自己犠牲を積み重ねると、問題が大きくなり、悩みが増えます。
でも、必要な手を打つ術が身についていないので対応が取れず、時間の経過と共に問題が大きくなるのに、どこから手をつけていいのかも、どうしたらいいのかもわかりません。
そのため
周囲にあれこれ言われない(周りに認められる)ために忙しく動く一方で、対人トラブルも悩みも増える。
生産性も幸福度も低く、いつも疲れる。
過食や、買い物、刺激物、承認を求めたりすることで、ストレスを解消したり、自分を満たしたりしながら、何とかその場をしのぎ、頑張り続ける。
限界が来る頃には、心身ともにダメージが生じて動けなくなる。
ということが起こります。
自分の人生において自分の意志を犠牲にし続けるので、何のために生きているのかがわからないと感じるのは自然なことだとお分かりいただけるのではないでしょうか。
気づいた時点で手を打つことが必要です。
自己犠牲の癖に対応しながら小さな成功を積み上げて自分を変える
一回のセッションで何もかもわかったり、手を打てたりする訳ではありません。
自己犠牲に陥っている状態から、自分の意志を活かすために、軌道修正の術を身に着ける取り組みを、段階的に行っていきます。
目の前のさまざまな悩みに対して生じる、Uさんのネガティブな思考や感情などをありのまま認めることを通じて
- 自分の意志を活かす
- 自分と他者の違いを尊重する
自律の土台を作りつつ、ご自身の癖を理解した上で、必要な行動へとつなげられるよう「小さな成功や、軌道修正の経験を積み上げていた」のでした。
知識を得ただけで、未体験のことを身に着けようとしても、ムズカシイです。
日常生活は軌道修正の宝庫であり、自分を変えるチャンスの連続。
目の前の出来事に対する、Uさんのネガティブな感情をどんどん活かしていきます!
次回に続きます。↓