この話は前回からの続きです。
EFTに取り組まれるようになってから、J子さんは、おばあさんに「これまでは伝え辛いと思って、言わずにきたことを話す」を何度も実践しています。

断っても、周りとの人間関係は悪くならない。
むしろ、心地よい結果を得られる。
ヒトを変えて「断る」を繰り返したJ子さんの思考・行動パターンが、確実に変わってきています。
実践を通じて、ありのまま認めることに慣れつつあるJ子さん。
他にどんな変化があったのでしょう。
相手が変わるのを期待する
長年に渡り、家の冷蔵庫の中には、J子さんや旦那さん、お子さん達が「一切手をつけない食材」が入っているスペースがあります。
そのスペースに置かれている、頂きものや美味しそうなものを食べることが許されているのは、同居しているおばあさんと、おばあさんの実の息子(J子さんの配偶者の弟)S君の二人だけ。
頂き物や美味しそうな物が、そのスペースに置かれています。
J子さんが不快に思っている理由
J子さんは、この状況を不快に思っていました。
なぜなら、おばあさんが、J子さん達に「食べて良い」と言ってくるのは「おばあさんとS君の二人にとってどうでも良い物だ」とJ子さんは感じているから。
決して、スペースに入っているものを食べたい訳ではないのです。

食べる・食べないに関係なく、おばあさんから「(あなた達も)食べる?」の一言が欲しいんです。
J子さん達に「食べる?」という声がけがないまま、おばあさんとS君二人だけで食べていることに、腹を立てているのだということがわかりました。
伊藤からの質問
ここで、私からJ子さんに質問です。

今まで、おばあさんに、そのスペースに入っているものを食べて良いかを聞いたことはありますか?

聞いたことはないです。
自分から動くことのススメ
前述した状況で、腹が立っている中、おばあさんに「私も食べて良い?」なんて、意地でも言いたくないですよね。
それに自分から言うなんて、何だかはしたない・・と思うかもしれません。
ですが、私からの提案は

おばあさんに、ここに入っている物、食べても良い?」と実際に聞いてみましょう!
自分から聞いた方が良い、三つの理由
自分から聞いた方が良い理由が、三つあります。
おばあさんは意地悪をしているのかを見極める
一つ目は、おばあさんが本当に意地悪をしているのかを見極める必要があるということ。
おばあさんが、J子さん達に「食べて良い」と言ってくるのは「おばあさんとS君の二人にとってどうでも良い物だ」とJ子さんは感じている
J子さんはこのように感じているけれど、これが事実なのかを確認する必要があります。
「食べていい?」と聞くことで、本当の所、おばあさんはどう思っているのか。
意地悪をし、わざと食べさせないようにしているのか、そうでないのかがわかるのです。
2・相手の出方が変わるのを待つという選択のリスク
J子さんのこれまでの対応は以下の通り。
- J子さんは(おばあさんに、あなた達も食べる?と誘われない)現状に不快を感じている
- 不快を感じているJ子さんの選択は「おばあさんに、食べても良い?と声をかけない
これまでと同じ対応をJ子さんが続けても、今と同じ結果「不快になる」だけ。
それだけではありません。
不満を抱えたまま、おばあさんに対する嫌な気持ちや苛立ちなどが、膨らんでいくはず。
今までの選択を繰り返した場合、
J子さんの貴重な時間や労力を、解決することのない、おばあさんに対する嫌な気持ちへ向け続けることに費やすというリスクがある
のです。
こうなると、どこかでストレスを発散する必要があるため、時間・労力・お金などが漏れていくのです。
3・良い人であろうと我慢することで新たなトラブルが生じる
三つ目は、J子さんのうまくいかない思考・言動パターン(他人軸)
良い人であろうと我慢をする
これが新たなトラブルの原因になるのです。
無意識のうちにJ子さんが「良い嫁として認められるように振る舞えば、おばあさんから声をかけてくるはずだ」と思いこんでいる可能性があります。
この場合「長男の嫁として認められるよう振舞う」ことで「これ食べる?」という言葉をおばあさんから引き出そうとするかもしれません。
実際は、食べたいと思っている訳でもないのに。
「食べる?」という言葉を引き出せなければ、傷つきますし、無駄に時間と労力を費やしながら、自信や存在価値を失い、おばあさんに良い嫁と認められないご自身を責めることになるのです。
仮に、おばあさんが本当に意地悪をしているのだとしたら、距離を取った方が良いのです。
ところが、「長男の嫁として認めて欲しい」という長年の思いに沿って、J子さんは無意識のうちに「良い嫁キャンペーン」をしながら、歩み寄ろうとする可能性があるのです。
だから、「これ食べていい?」と聞くことで、おばあさんが本当に意地悪をしているのかを見定めつつ、この先の付き合い方をJ子さんが考え、判断し、実行する必要があるのです。
そうすることで、ご自分も家族も守れます。
一緒に住んでいるので、無視するとか、全く付き合いをなくすとかしなくても、一線を引いての関係が築けるはずなのです。
EFTで自分から動く準備をする
このような理由で、EFTで、J子さんが、これまで抱いていた不快な思いをありのまま認め、掘り下げました。
うまくいかない思考・言動パターンも認めて、今までのやり方ではうまくいかないとわかった上で、「おばあさんに思いを伝えられそう。」という状態になりました。
具体的に何を伝えるのかをEFTで落とし込み、準備は完了。
セッションを終えたJ子さん、おばあさんに聞いてみる気、満々です。
自分から動いて得られた変化
確か翌日のだったと記憶しているのですがJ子さんからお電話を頂きました。

さっそく、おばあさんに話してみました!

おばあさん、ここに入っているの、食べても良い?

ああ、食べろ食べろ。全部食べても良い!
「相手に聞いてみる」という新しい選択・行動をした結果、思いがけない展開が待っていたのです。
これは、J子さんが、ご自分の人生のハンドルを握り、主体的に行動をしたことで、得られた結果です。
「相手に期待する」から「自分から動く」に変わるのは簡単なことじゃない
J子さんが実践した、「相手に聞いてみる」は、簡単だと思ったかもしれません。
でも、実際にこのような場面で「言ったら負けた気がする」「そんなこと言いたくない」と仰る方は多いのです。
このような時、EFTが有効です。
頭と心が納得した上で、相手に聞くということができるのです。
聞かずに待ち続けるのはもったいない
一言、聞いたら違う未来が待っているのかもしれないのに、「負けた気がするから」と言わずに相手への不満を貯め込み、イライラすることに時間や労力を使って、相手を悪者に仕立て上げる。
この選択は、もったいないと思いませんか?
それに、今言わないとしたら、いつ伝えるのでしょう?
明日、明後日?
一年後?
十年後?
・・・それとも、自分の命が終わりに近づく時?
そう考えると、EFTを使って、感情や思考を認め、必要な対応を取ってしまう方が何倍もラクなのです。
その積み重ねが、自分軸で生きる力を育てていくのです。
次回に続きます。

