離婚危機を回避なさったRさんの、EFTセッション事例を7回に渡って紹介します。
この記事では、このようなことに触れています。
離婚危機は表面的な問題に過ぎないこと。
離婚危機をきっかけに、ご自身の内側と向き合い、他人軸から自分軸へ軌道修正をし、根本対応が取れるようになれば、より良い夫婦関係を育むことができるかもしれないこと。
本事例は、約4か月に渡り2時間のセッションを6回行っています。
最終回の7話は4年後の変化に触れています。
事例公開の許可を下さったRさん、本当にありがとうございます。
離婚危機に陥った背景
Rさんは、30代。
努力家で、素敵な方です。
授かり婚で、配偶者と4才のお子さんがいらっしゃいます。
過去にもEFTのセッションを受けたことがあります。
今回、最初のセッション時のRさんの訴えは下記の通り。

配偶者に愛されているかどうか不安になっていた
配偶者が本当に自分のことを愛しているのかどうかを確認したかった。
それで離婚届を突き付けたら、離婚話に発展してしまった。
どうしよう・・。
本当は離婚したくない
Rさんは、本当に離婚をしたかった訳ではありません。

何、馬鹿なことを言っているんだよ。
Rのことが大事だよ。離婚なんてしないよ。
離婚届を突き出すことで、このような感じの言葉を配偶者から引き出したかった。
自分は愛されているという確信を得たかった。
そう思う気持ち、十分にわかります。
離婚危機の原因は他人軸
Rさんの試し行動の背景にあるのは、配偶者である夫に愛されたいという切実な思い。
これは、Rさんが、ご自身の意思を他人軸で扱っていることを意味します。
他人軸とは、周りにどう思われるかを優先して、自分の意思を抑えてしまう状態のこと。
特徴は
- 周りに認められたと自分が感じることで、安定する
- 意思を抑圧・犠牲にしているので、自分がどうしたいのかに沿って必要な対応を取る経験やスキルなどを身に着ける機会を失っている
この特徴によってRさんは、配偶者に愛されたと感じることで安定するのですが、無自覚のうちに、さまざまな問題や悩みを引き起こします。
つまり、離婚危機は、日々、Rさんがご自分の意思を扱い続けた先で生じたもの。
「今、いきなり起きたこと」ではないのです。
「愛されたい」とは?どうやったら「愛された」ことになるの?
「配偶者に愛されたい」と仰るRさんにとっての「愛される」とは、具体的にどういうことを指すのでしょう。
EFTを通じて、感情や思考をありのまま認め、掘り下げるうちに、言葉の意味が見えてきました。
- Rさんが求めているものを、配偶者が察して与えてくれること
- Rさんが望んでいることを、一切説明しなくとも配偶者が全てわかってくれること
- Rさんが何も言わなくても、自分が望んだ通りに、配偶者が完璧に動くこと
Rさんは、配偶者の態度や言動、雰囲気などを通じて「自分は愛されている・愛されていない」の判断をご自身でなさっていたのです。
本当に愛されているかどうかは関係がない
この場合、Rさんが、本当に配偶者から愛されているかどうかは関係がありません。
仮に、配偶者が心の内で「Rに全く気持ちがない」と思っていたとしましょう。
それを知らないRさんが、配偶者の言動に対し「自分は愛されている」と感じられるのであれば、彼女の中では「配偶者に愛されている」が事実になります。
反対に、配偶者が心からRさんを愛していたとしましょう。
配偶者の言動に対し「自分は愛されていない」とRさんが感じるのであれば、彼女の中では「配偶者に愛されていない」が事実になるのです。
なぜ、このような状態になったのか、それには理由があるのです。
Rさんの「愛される基準」を知る
Rさんが配偶者と付き合い始めた頃。
彼は強い愛情表現をしてくれ、Rさんは、すごく愛されていると感じていたと言います。
結婚前は、お互いが気を遣い合い、盛り上がりますものね。
これがRさんの愛されていると感じる基準だとすれば、常に配偶者からの強い愛情表現が必要です。
でも、結婚してからは、強い愛情表現が得られなくなりました。
そのため、Rさんは配偶者から愛されているとは感じられなくなったのです。

私、本当に愛されているんだろうか・・
不安に感じても、ちっともおかしくありません。
愛されていない事実を知る
加えて、配偶者の職場は飲み会が多く、帰宅が遅くなりがち。
Rさんは蔑ろにされている(愛されていない・大事にされていない)と感じることが増えていました。
不安が募り、我慢ができなくなった所で、配偶者のスマートフォンを勝手に見てしまったのです。
プライバシーの観点からやってはいけないことだとRさんはわかっていましたが、どうしても見ずにはいられなかったのです。
そこで、配偶者が知人に「Rに気持ちが全くない」と送っていたのを発見したのでした。
存在価値を失った自分を守るための「試し行動」が離婚騒動につながる
Rさんにとって、これは、ご自身の存在価値を揺るがすほどの危機です。
大きく傷つき、自信もなくなり、ご自身を守れなくなります。
この状況を抜け出すためには、配偶者から強く愛されているとRさんが感じることが必要です。
すり減った気持ちを一気にチャージするために、離婚届を突き出したという訳です。
そうすれば、Rさんの心の内を、配偶者が全て察するはず。
配偶者が本当に自分を愛しているなら、離婚届を突きつけたら、Rさんの思い描いた通りの反応が得られるはず。
「何、馬鹿なことを言っているんだよ。Rのことが大事だよ。離婚なんてしないよ」という展開になるはず。
自分はものすごく愛されていると感じられるはず、だったのです。
愛されるはずなのに関係が悪化する
Rさんは、うまくいくと思い込んで行動したけれど、結果は散々。
離婚話に発展し、ご自身も、配偶者も、傷つけてしまったのでした。
実際のところ、Rさんの意思の扱い方では、うまくいくどころか、配偶者からの信用を失い、関係が悪化するだけなのです。
でも、他人軸の状態では、そのことには気づけません。
想像もしていなかった展開に

え、なんで?
という状態に陥ります。
努力するほどに愛されることから遠ざかる
他人軸のままでは、愛されたいとRさんが努力するほど、愛されることからは遠のきます。
なぜなら、配偶者の本心そっちのけで、「こうやれば愛されるはず」という思い込みと、配偶者の評価と感じる、ご自分の判断で行動することになるからです。
Rさんが考えた、配偶者が欲しいであろうものを差し出し、彼から思い描く反応が得られない場合。
Rさんは、ご自分の望む通りに動くよう、配偶者に仕向けるようになります。
私は、あなたのために考えて行動しているのだから、あなたも人のために考えて行動しろ!
私がこんなに頑張っているのに、どうしてあなたはわかってくれないの?
本当に私が大事だったら、愛してくれているなら、何も言わなくても私の思い通りに動くのが当然でしょ?
配偶者も愛されることから遠ざかる
配偶者にとって、Rさんの愛されたいという訴えは理解しがたいものです。
彼はRさんやお子さんのために、頑張っていらっしゃるはず。
仮に配偶者も、他人軸で意志を扱っているのであれば。

自分が何をやってもRから否定される。わかってもらえない。大事にされない。愛されない。居場所がない。
など、自分を否定されたと感じるでしょう。
そのため、居場所を求めて、職場の飲み会に行ってしまうのです。
配偶者もまた、Rさんから愛されると感じることから遠のいているのです。
離婚危機は表面的な問題|根本の課題は2つ
離婚話は実の所、表面的な問題に過ぎません。
離婚した所で、Rさんの問題は解決しないからです。
根本的な問題は2つあります。
それが、冒頭で述べた、他人軸の特徴です。
- 周りに認められたと自分が感じることで、安定する
- 意思を抑圧・犠牲にしているので、自分がどうしたいのかに沿って必要な対応を取る経験やスキルなどを身に着ける機会を失っている=自分軸で必要な対応が取れない
この特徴によって、本来のRさんや、配偶者の持ち味や良さが活かせず、互いを犠牲にした上で関係を成り立たせようとすることになる。
仮に今回、何とか離婚危機を回避したとしても、根本対応を取らなければ、配偶者をつなぎ留めるために、他人軸のまま努力して愛されようとするはず。
そんなに遠くないうちに、また離婚危機に陥るのは目に見えています。
Rさんが仮に離婚し、別なパートナーができたとしても、今のままでは、他人軸でご自身の意思を扱うしかありません。
そうなると、パートナーを変えて、離婚危機が起きます。
ほかにも、お子さんの負担や影響も考えなければなりません。
彼女の「愛されたい」が配偶者で満たせない場合、お子さんを思い通りに動かすことで、ご自身を満たそうとする可能性があるからです。
お子さんの中でも他人軸が育つため、幼いうちはよくても、大きくなるにつれて生き辛さにつながるかも知れません。
Rさんの意思の扱い方は、思っている以上に、周囲の人たちに影響を及ぼします。
だからこそ、根本的な対応が必要なのです。
自分軸を作れば離婚危機を回避できるかもしれない

Rさんが自分軸の「どうしたいのか」に沿って、必要な対応が取れるようになれば、本当の意味で離婚危機を回避できるはず!
ご自分の意思を活かし、自分軸で必要な対応が取れるようになれば、Rさんの持ち味や良さを発揮した上で、配偶者を尊重することができるようになり、本当の意味で愛されるはずなのです。
違いを尊重しつつ、互いに刺激し合える、良好な関係が築けるはずです。
ご縁があって夫婦になられたのですから、離婚危機を回避した暁には、お互いの良さや持ち味を活かし、自分軸で愛し愛される関係を築ける方が良いと思うのです。
自分軸の「自分がどうしたいのか」に沿って思考し、行動することは、離婚する・しないに関わらず、その時の最善につながります。
その連続・積み重ねで得る過程や結果は何であっても、彼女のためになるものであるはず、なのです。
自分軸を作るRさんの変化と影響は、配偶者とお子さんにも及びます。
お互いにとっても良いものになるはず、です。
離婚危機をきっかけに、より良い関係を育むことができるかもしれないのです。
なのでRさんには、下記のことをお伝えしました
- 他人軸ではうまくいかないので自分軸を作る必要があること
- 離婚届は配偶者の愛を試すために差し出すものではないこと
- 本当に離婚すると決めた時に渡すもの
今回のセッションは、Rさんの意思に沿って離婚回避を選択。
ひとまず、Rさんの他人軸から自分軸へ軌道修正し、離婚を回避し、お二人の関係を立て直すことを目指します。
友人への相談は一時停止した方がよい理由
Rさんは、アイホージュにおいでになる前に、何人かの友人に相談と称してこの話をしていたのですが、しばらくの間は、それを控えるようお願いをしました。
今のRさんに必要なのは、「ご自分の内側と向き合うこと」
これまでは、ご友人と話すことが助けになり、ラクになっていたかもしれません。
それはそれで良いのです。
でも、今回みたいに、他人軸で切羽詰まっている場合は別。
仲の良い友人に相談したことによって、勢いで離婚に踏み出すとも限らないのです。
相談によって離婚に踏み出すとは?
他人軸の特徴1によって、Rさんはご自分の言い分を、友達に認めてもらえたと感じることで、配偶者に愛されないと感じて傷ついた状態が、一時的にチャージされます。
安定を得たRさんの中で「何とかなるかもしれない」いう根拠のない期待や楽観が生じます。
Rさんの言い分に同意・支持する友達が増えると、多数決のような動きが出てきます。
この場合、友人と分かれてご自宅に戻ったRさんが、配偶者に対し「お前が間違っている、お前が悪い」などと責めるかもしれません。
ヘタに動いたら、離婚一択になる状態なのに「配偶者が悪い」なんて言おうものなら、Rさんの望まない展開になってしまいます。
Rさんが、友人からチャージされた状態で、配偶者に接しても、現実には「愛されていない」と感じることになるので、アップダウンが激しく、すり減るだけ。
そのため、離婚に関する取組をしている間だけは、相談事は全てをアイホージュに回し、ご友人にはなさらないようにお願いしました。
他人軸から自分軸へ軌道修正しながら離婚危機を回避していく
EFTを使って、他人軸から自分軸へ軌道修正しながら、離婚危機を回避していきます。
配偶者に離婚届を突き付けてしまったことは、仕方がありません。
ここから立て直せばいい話ではあるのですが、結婚は相手があって初めて成り立ちます。
自分軸を作り始めたRさんの新しい働きかけに対し、配偶者がどのように対応するのか。
それを慎重に見極めながら、離婚回避とセッションを進める必要があります。
立て直した後に続くであろう結婚生活が、Rさんと配偶者にとって、心地よく、実りあるものになるように。
Rさんや配偶者、それぞれの持ち味や良さを活かせる関係を築いて行けるようにするために、中・長期的視野をもって、セッションに取り組みます。
その先で、どうしても結婚生活の継続は不可能とした時は、納得して離婚したら良いと思うのです。
以上が、初回セッション時点の記録です。

