この事例は、前回からの続きです。
前回からの続き・Uさん事例1

集中してEFTに取り組み、対人関係において、変化の手ごたえを感じる中、Uさんは「職場を変えたい。実家を出たい。生まれ育った土地から離れたい」と思うようになりました。
それまでも、ぼんやりと思ってはいたのだそう。
実現に至らなかったのは、やらない言い訳をすることで、ご自身のやりたいことに蓋をしていたからでした。
これも「我慢は美徳」から来ています。

年を取っているから、若くないから、ここにいるしかない。どうせ無理だ。
お気持ちはわかるのですが、これは他人軸の仕業です。
やらない言い訳は他人軸の仕業
EFTタッピングで、Uさんが「来年の春、引っ越しをする」と決めたのは夏のこと。
実行の時期が巡ってきた時、Uさんは「仕事にあぶれるんじゃないか・・」と思い、現状維持を選択なさったのでした。
それ迄のセッションで、引っ越しなさるものとばかり思っていた私・伊藤はびっくり。
彼女は「仕事にあぶれるんじゃないか・・」と仰るけれど、Uさんに限ってはそれはないはず。
何なら引っ越し先の方が、仕事が多いはず。
それはUさんもわかっていらっしゃることなのです。
人生を左右する選択なので、直前で怖気つき、何らかの理由をつけて、取りやめる動きが出るのは、他人軸あるあるです。
このような時に、EFTで軌道修正をし、「引っ越し」へと結び付けることもできるのですが、私がUさんからお話を伺ったのは事後でした。
やると決めて動けない時は「今の場所でまだ取り組むべきことがある」
やると決めて動けなかったことは、失敗でも何でもありません。
- 引っ越しする前に、まだ取り組むべきことがある
- 今だと思ったけれど、どうやらそうじゃないらしい
と判断します。
すぐにSOSが来ずに、事後に連絡を頂いたのには、私たちが気づいていない、何らかの理由があるのだろうと思いました。
その理由は、最中にはわからず、後に判明することが多いです。
やる必要のあることをしながら、その時が来るのを待つことにしました。
一年後に向けた取り組みを開始
セッションでUさんと私は「この先、どうするのか」を考えました。
次に引っ越しができるのは、早くて一年後。
現状維持を選択した一年の間、Uさんはずいぶん落ち込んだり、後悔したり、ご自身を責めたりなさっていました。
「仕事にあぶれるんじゃないか」と思うことで危険を回避し、現状維持をし、ほんの少しの間ほっとするのですが、その後はできない自分を責めてしまうのですよね。
でも、これはUさんにとって必要なこと。
後に起こることを知っている今では、この一年は現状維持が最善の選択だと言えます。
「最善」というと何もかも思い通りと思われるかもしれませんが、人の頭で考える「何もかも思い通り」とは違うのです。
やらない言い訳をありのまま認めて生じた一年後の変化
一年間、過去の選択に悔やみ続ける中で、日々、ご自身の癖に対応しながら、軌道修正を積み重ねたUさん。
翌年、心から納得した上で、生まれ育った土地を離れ、引っ越しなさったのです。
すぐに仕事が決まりました。
あの悔しい一年があったからこそ、二度と現状維持を選ばないと決め、満を持して、自らの意志で引っ越しすることができたのです。
未来でわかること|もしやらない言い訳を続けていたら
引っ越してから、しばらく経った頃のセッションでのこと。

みつるさん、聞いてください!!!
今回の機会を逃していたら、私もう(生まれ育った土地から)出られなかったです。
具体的には書きませんが、想像もしていなかった、とあることが起きたのです。
Uさんは、無理なく環境を変えられるギリギリのチャンスをつかんで引っ越しをなさっていたのでした。
やりたいことはいつでもできる訳じゃないと気づく
やると決めたら、いつだって移動できる。
そう思っていても、たった一つの出来事によって話が大きく変わり、身動きが取れなくなることもあるのです。
もし、次の年も怖気づいて残留したとしても、Uさんが強く望み、その次の春には何がなんでも移動しようと決め、実行するのは可能です。
ただし、事情が変わったことによって、これまでとは比べようもないほどに、Uさんの心理的なハードルが上がるはず。
現在の引っ越しを成し遂げたUさんでさえも、あの(出来事が起きた後の)状態だったら、やっぱり出られないわ・・
と仰いますし、私も同意見と思うほどに、大きな出来事だったのです。
お金の漏れにEFTで根本対応|我慢の末に見えた真実
同じ頃、Uさんは、もう一つ、大切なことに気づかれました。
それは金銭面に関すること。
彼女の金銭の扱いは堅実です。
忙しい合間を縫ってやりたいことをしつつ、貯金もなさっていて、周りの人達の「お金がない・足りない」という話を聞く度に「どうしてだろう?」と感じるほどに、余裕をお持ちです。
そのような中で、長年に渡り、Uさんにお金の漏れが生じていたのです。
その件について、ずっと我慢をしていました。

全然納得はしていないんです。
でも、そうするしかなくて。
周りに言われるがままに、仕方なく受け入れている。
そのため、引っ越しを通じて、物理的に、この状態から離れることにしていたのです。
ところが、引っ越しをした後。
「今回の機会を逃していたら、生まれ育った土地から出られなかった」という出来事が生じた際に、今までUさんが知りたいと思っても、うやむやにされていた事実が露呈したのです。
この出来事を機に、彼女が金銭面で我慢し続けたことは、周囲の助けになっていたものの、本質的には「誰のためにもならず」よろしくない結果を招いたことに、自らがお気づきになったのです。
Uさんは、このことに強い衝撃を受けていました。
ですが、事実を知ることができたのは幸いです。
Uさんは、自分軸のどうしたいのかに沿ってご自身を守りつつ、周囲への配慮をするようになったのです。
Uさんの幸せを願う存在に気づく
この時の出来事と、ここからもう少し後に起こる別の出来事と、過去のEFTの取り組みを振り返った時。
私・伊藤は、「Uさんのことを大切に思い、幸せを願う身近な存在」が、彼女らしく生きるための新しい選択を後押ししていたであろうことに、初めて気づきました。
引っ越しは、Uさんお一人で成しているように見えても、周囲の人たちとの絶妙な絡みやつながりがあります。
彼女が引越しした影響は、周囲に及びます。
そのつながりによって、色々な出来事が生じた訳ですが、これらがなければ「Uさんのことを大切に思い、幸せを願う身近な存在」には気付けず、そのことをUさんに伝えることもできなかったのです。
自分らしく生きることに拍車をかける
- 一年という時間を経て行った引っ越し
- 引っ越しはいつでもできると思っていたけれど、一つの出来事によって流れが変わり、タイミングを失うこともあると気づいたこと
- お金の漏れと衝撃的な気づきを得た出来事
- Uさんのことを大切に思い、幸せを願う身近な存在
これらのことは、Uさんが「我慢は美徳」に留まらないよう彼女を促していたのは間違ありません。
自分らしく幸せに生きることへと拍車をかけたように思います。
これ以降、私はUさんから近況を伺うことはあっても、EFTのセッションはしていません。
もうお一人で軌道修正ができるようになっているからです。
最後に、Uさんから頂戴した感想を紹介しましょう。
もう一緒にセッションをしなくても大丈夫な様子がお分かり頂けると思います。
若くないからここにいるしかないと思っていたUさんの引っ越し数年後の感想
以前は、いつも仕事にあぶれるような気がしていたけれど、今は全然ないです。
どこにいっても、私、やれるんだ。
色んな所に行って、新しいことをやるって楽しいんだって思っています。
移動して良かったです。
(以前の環境は)精神的に限界でした。
良いことばかりじゃないけれど、今の職場は空気が良いです。
不平不満もあるし愚痴も言うけれど、ネガティブにはまり続けるのではなく「じゃあ変えようぜ、どうやったら変えられるか」と考え、行動するようになりました。
前は、どうせ無理だからと言う前から諦め、やさぐれ感がありました。
今は、言ってもだめかもしれないけれど、ここで諦めたら、また「我慢」することになるから、まずは言ってみよう思うようになりました。
言っても無駄かもしれないけれど、言わなければ永遠に通じないとわかっているから。
以前の自分と同じように、やる前から諦めてしまう職場の人達にも「言ってもダメかもしれないけれど、もう一回やってみよう。みんなでやれば、聞いてもらえるかもしれないじゃん。」と声をかけています。
自分ひとりで言ってもだめなら、みんなも巻き込んでいけばいいと思っています。
そう思って声をかけていくうちに、話を聞いてくれる人も増えました。
今ではプライベートで誘ってくれる人もいます。
コロナ禍で、お店開拓が難しいので、今の土地を十分に満喫しているとは言いきれないけれど、環境を変えて本当によかったと思っています。
また、別な土地に住んでみたいという思いもあります。
都会的なところにいってみるのもいいな。
どこにいっても、私、やれるんだって思っています。
色んなところに行って、新しいことをやるって、楽しいんだ。
知らないことを知るって楽しい。
実家を離れて一人暮らしをして思うのは、一人になるって素敵なことね、ということ。
皆、一人を心配するけれど、私は、仲間がいてもいなくてもどっちでもOKです。
一人暮らしを楽しんでいます。
Uさん、ありがとうございました!
またお会いするのを楽しみにしております。

