本記事は、前回の続きです。
60代・J子さんが、EFTでどんなことに取り組んでいたのかを紹介します。
どうしたらいいのかわからない
初めてセッションを受けた時のJ子さんの訴えは

自分なりに、周りのためにと頑張ってきたけれど、色々な問題が起きて、どうしていいのかがわからない。
過去の出来事に対する苦しさ、辛さ、悲しみ、不満、不快、痛み、後悔、自責の念などを押し込めたまま、前を向こうと一生懸命頑張っているご様子が伺えました。
一つの悩みを題材に、ネガティブな感情を認め、掘り下げながら混乱を紐解いていきます。
頑張ってもうまくいかない原因
継続セッションによって、今の状態に陥った原因は
- 頼りにしていた人の言葉
- 小さい頃に、困っていた身近な人に貯めていたお金を貸して、喜ばれた経験
- 喜ばれたことから来る、良い人・良い嫁でありたい
などの要素が複合したものであることがわかっています。
アイホージュでは、この原因のことを後に『他人軸』と呼ぶようになります。
辛かった時に頼りにしていた人の言葉
J子さんは、とても辛かった時期に「頼りにしていた人」から「流されるように、生きてみたら?」と言われたことがあります。
この言葉が、彼女にとって、一筋の光のようなものとなりました。
頼りになる人の教えを実践した結果
J子さんは、この教えをどのように捉え、30年以上に渡り、実践してきたのでしょう。
周囲に対して「断ること」を選択しなくなり、「自分が我慢すればいい」と思うことが、当たり前
「自分がどうしたいのか」を抑圧し、表向きは、人に喜ばれるよう良い人であろうとする
これがJ子さんにとっての「周りに流されるように、生きる」だったのです。
教えを実践し続けた結果、「現在、とてもラクになっている」のであれば良いのです。
でも「頑張ってきたけれど、色々な問題が起きて、どうしていいのかがわからず、セッションを受けている」のであれば「周りに流されるように生きる」は、J子さんに合った方法ではないと判断します。
J子さんのEFTの題材|相手の要望を優先して断れない
J子さんは習い事をしています。
仕事で忙しいので、習い事の発表会には出たくないと思っています。
でも、先生に強く勧められ、断れずにいたのです。
「自分が我慢すればいい」が、当たり前になっていたJ子さん。
ご自身の都合で「断る」ことができず、疲れていました。
セッション時に、自分の都合で断って良いのだという説明をすると、すごくラクになったと仰っていました。
「わかる」と「動ける」は別。
今、ラクになっても、実際に行動に、移せるかは別。
私・伊藤が「嫌だと言っても、大丈夫ですよ。」と伝えて、ラクになったと感じたJ子さんが「言える」と思ったとしても、実際に行動に、移せるかは別。恐らく無理です。
理由は、30年以上に渡り、我慢することでうまくいくと思い込んで、対応を続けてきているから。
実際に、その場面になった時「言えない」と感じて、先生に押し切られていくはず。
頭と心が納得した上で行動し、変化を得るためのEFT
「わかる」けれど「動けない」時にも、EFTタッピングを使います。
「今までの方法ではうまくいかない」「断っても大丈夫だ」と理解し、頭と心が納得した上で、実行できる状態を作るのです。
具体的に、どのように伝えるのかまでをEFTで落とし込み、準備を終えたJ子さん。
セッション後、先生に、発表会には参加しない旨を伝えたのでした。
「自分の都合で断ってもいいんだ」という実体験を通じて、一つ目の変化の手ごたえを得たのです。
J子さんに必要なこと
J子さんに必要なのは、EFTの基本となる
- 自分を認め、自分を理解する
- 自分と相手の意見の違いを認めて、必要があれば合意点を見出し、実行する
ことを通じて、自分(や周囲)を守ること。
「自分が我慢すればいい」は「対人トラブルの原因」になる
自分が我慢すればいいと考え、どうしたいのかを抑圧し、表向きは相手に合せる場合、その場は凌げます。
1~2回なら、何とかなるのですが、この対応方法では、相手との境界線が築けません。
自分も、相手も、傷つける可能性があるのです。
例えば、J子さんが「疲れているから、本当は参加したくない」のに、先生を優先して、発表会に出ることを決めたとしたら、彼女は内心不満を覚えると思うのです。
でも、先生からしたら、J子さんに「参加の同意を得た」はず。
J子さんは、先生の言動にいちいち反応しながら「先生の良いように扱われている」と感じるようになるかもしれません。
その積み重なりが、限界まで来た時に、先生のことを信用できないと感じ、「本当は出たくなかった」と言ってしまうかもしれないのです。
断っていたら、先生と生徒という、関係が築けたはずなのに、いい顔をしたためにトラブルになり、自分も相手も傷つけ、関係を壊す可能性があるのです。
頭と心が納得して動けるようになるには、このような内容もEFTで落とし込む必要があるのです。
働きたくない時は働かなくていいとは?
ちなみに、前回の記事でJ子さんのお手紙の中に書かれていた「働きたくないと思う時は、働かなくていいの。」は、そう感じる自分をEFTで認めましょうという話です。
認めることで、自分はなぜ働きたくないのかを理解した上で、今日という日をどうするのかを、J子さんが決めたら良いのです。
なので
- 好き勝手に休め
- 嫌だと思う仕事を辞めましょう
- 好きなことだけをしましょう
という内容ではないことをご了承ください。
EFTで「働きたくない」を存分に味わうことで、現状の環境を変えずに、自分の視点や思考、選択・行動・結果を変えていくのです。
いろいろな悩みを抱えてどうしたらいいのかわからない時はEFTを試してみよう
アイホージュにお越しになるクライアントさんで「悩みがたくさんあるのに、どうしていいのかわからない」と仰るケースはとても多いのです。
何から説明したらいいのかもわからなくて、「あれもこれも言わなきゃ」という気持ちになるのは、私・伊藤も体験済みです。
もし、あなたが、同じようなことで悩んでいらっしゃるのであれば、まずは「一つの悩みを題材に、ネガティブな感情を認める」ことから始めることをお勧めします。

大したことがないと思うかもしれませんが、掘り下げていくうちに、芋づる式に色々なことが明らかになるので「目の前のことを一つずつ片づけていく」と良いのです。